当日の機材と訓練スケジュール
ANA L10トライスター 1990年7月24日撮影
沖縄本島から南西へ約300km、下地島の梅雨明けは6月中旬頃で
この映像が撮影された7月は夏真っ盛り。黒い雲が瞬時に空港上空にかかり激しいスコールとなった時間帯もあった。1990年はバブル崩壊寸前という年ではあったが旅客需要は多く、夏休みともなれば各社とも臨時便のダイヤが組まれていた。そんな夏の繁忙期に入っていたために訓練機はANAのL10一機のみ。JALも、ほかのANA機の姿もまったくない。機材はL1011トライスター、JA8517。この日の訓練スケジュールは下記の通り。
1 1400-1530
2 1620-1705
3 1755-1925
真夏の下地島、日没は信じられないほど遅い。撮影は夕方5時55分からの訓練だった。
内容はエンジン1基が離陸滑走中に停止したという想定。滑走中のL10はその時点で逆噴射・ブレーキをかけても滑走路末端までに停止できないスピードが出ている。例えば左のエンジンが止まったとすると、右の推進力が強いために機体は左へ回頭し始める。横風が強いとコントロールは更に難しい。「一発動機模擬故障訓練」ではエンジン1基が停止したまま離陸をする。その後は通常の離着陸訓練に移り、低高度、最小回転半径で旋回をしタッチアンドゴーを繰り返す。訓練が終わった午後7時半頃、ようやく空が赤く染まり始めた。
前半・後半 1993年7月3日撮影
現在、訓練はシミュレーターによるものがほとんどで実機での訓練が少なくなってきている。それに伴い下地島空港の訓練利用回数も減少。1990年代前半は離着陸回数がピークを迎えた時期であり、連日何機もの訓練機が飛び、エプロンも賑わっていた。
下地島空港 離着陸回数/訓練人数
1990年 21095回 / 547人
1991年 22073回 / 712人
1992年 28526回 / 794人
1993年 20233回 / 811人
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2001年 7127回 / 284人
2002年 8756回 / 373人
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2006年 13663回 / 565人
朝は9時頃から夕方7時半頃まで、訓練機は途切れることなく飛んでいた。
撮影当日の航空機はJAL DC-10 JA8535、JAL MD-11 JA8581、ANAボーイング767-200 JA8491とJA8241の計4機。最も混雑している時間帯を狙い、数カ所から撮影している。