訓練の過程

 下地島で飛行機が離着陸訓練を繰り返しているのは知っていても、それらを操縦しているパイロットについて、また訓練の中身についての情報は少ない。そこで本ページではANAパイロットの訓練内容を紹介。

(2014年以降、下地島空港で訓練は行われていません。以下の情報は2010年に取材した時のものです)

ANA下地島乗員訓練所


下地島空港では実機による「副操縦士昇格訓練」が行われている。ここで訓練をしているのは20代のパイロット訓練生たち。入社した後、地上での勤務を約1年から2年、その後に東京・大田区の訓練センターで学科訓練。試験に受かるとカリフォルニア州ベーカーズフィールドでの基礎訓練へ。ここで事業用操縦士の免許を取得する。次は日本に戻り、学科訓練。そして再びアメリカへ。多発限定と計器飛行証明の資格をとる。そして東京・大田区の訓練センターでフライトシミュレーターを使っての操縦訓練。あらゆる緊急事態の対処など訓練をを終え、最後に実機を使っての訓練を行う。約2年半の厳しい訓練と試験の難関を経て、訓練生たちが初めて大型旅客機を飛ばすのが下地島空港である。

ANAの場合、ボーイング767またはエアバスA320で副操縦士への昇格訓練を行う。副操縦士になり経験を積んでボーイング777など他の機種の副操縦士に移行していく場合、例えばB777は実機による訓練・チェックは行っていない。B777はすべてフライトシミュレーターでの訓練となる。

またANAグループの実機訓練には次の機種がある。エアーニッポンはボーイング737-500、ボーイング737-700。エアーネクストはボーイング737-500。A-netはデハビランドカナダDHC-8-300、デハビランドカナダDHC-8-400。これらの機種は下地島空港で訓練を行っている。下地島で飛んでいる機種と飛んでいない機種があるのは国土交通省の認可関係によるもの。「機種移行の訓練においてもB737は実機での訓練が必要」「B777は実機訓練免除・シミュレーターによる訓練と試験」など各航空会社・各機種に対して航空局の細かな規定が設けられている。移行対象となる機種のシミュレーターの性能が高まり航空局の認可が得られると実機訓練は不要となるが、初めて旅客機を操縦する訓練生には実機での訓練が義務づけられている。

ANA下地島訓練所
 



下地島空港での訓練はパイロット訓練生2名に対して教官1名が担当として付く。下地島に滞在し、1日の訓練時間は2人で約1時間半程度。約3週間の訓練の最終日には試験官が同乗し最終試験を行う。訓練の詳細な内容については別のページで改めて紹介、ここでは施設の写真とともに下地島での訓練過程を追ってみる。



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