訓練生の生活

 訓練生と教官は那覇、宮古島を経由して船で伊良部島に入る。宿泊先は下地島空港から車でわずか数分の位置にある「さしばの里」 空港関係者のために作られた施設である。ここには全日空と日本航空の下地島訓練所に配属された各航空会社の社員、国土交通省航空局の管制官が暮らしている。下地島の人口は2010年現在で50人前後となっているが付近にある1軒の住宅を除くとそのすべてがさしばの里に住んでいる空港関係者で占められている。

下地島・さしばの里。




東京・大田区にある訓練センターでシミュレーターを使用しての訓練を繰り返して来た訓練生たち。厳しい訓練を積み重ね、実際の大型旅客機を飛ばすことになる彼ら。期待や不安、数々の想いが交錯、そして緊張感も並大抵のものではないことが想像できる。

下地島空港での実機訓練。内容は「エアワーク」と「エアポートワーク」の2種類。 エアワークは空域での訓練。タッチアンドゴーを見に行き、離着陸を繰り返していると思ったら飛んで行った飛行機がなかなか戻ってこない・・・これは空域での訓練を行っている時。タッチアンドゴーなどの離着陸訓練が含まれるのがエアポートワークである。

例えば「ボーイング767が10月1日から訓練」というスケジュールが入っていたとする。10月1日は訓練生たちが初めて旅客機を飛ばす日である。旅客機での初めての着陸はハードランディング気味になることが多いらしい。少しずつ慣れてくるとスムーズなランディングとなる。下地島の蒼い空、上空から見るエメラルドグリーンの海は彼らの目にどう映っているだろうか。

訓練が終わると乗員宿舎へと戻る。宿舎では各自学習をしたり、みんなで集まり勉強をしたり・・・宿泊する部屋以外にも学習室やラウンジなどもある。初めて実機を飛ばすという極度の緊張を伴う訓練に対しては疲れをいやすための休息、十分な休養をとることが大切だという。ここにはテニスコートや近所にゴルフコース、そして何よりも下地島の美しい自然の中で素晴らしい休日を過ごすことができる。

ANA乗員宿舎。玄関、ロビー。
 



2階建ての宿舎は全部で46室。
   



数多くの訓練生たちがこの机に向かい努力を続けたに違いない。
部屋は普通のホテルのシングルルーム程度の広さ。
 



ラウンジには自炊できるキッチンが奥にある。学習や飲み会にも使われる(左)
パイロットといえども洗濯は自分で・・・ランドリースペース(右)
 



こちらは食堂。この建物は下地島を舞台にした人気アニメ「ストラトス・フォー」に登場する中華料理店のモデルになった。ストラトス・フォーでは空港を含め下地島の風景が忠実に再現されている。

リンク
ストラトス・フォー



さしばの里のレストランは利便食堂とも呼ばれている。これは施設全体が空港利便施設という名称だったため。メニューはリーズナブルな価格。奥には広い座敷もあり宴会も可能。外ではバーベキューもできる。
 



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