旅客船 平良ー佐良浜

・平良ー佐良浜航路
 宮古島。平良港と伊良部島・佐良浜港の航路は約8km。宮古海運のフェリーゆうむつ・うぷゆう、はやて海運のフェリーはやて・スーパーライナーはやての4隻が就航していた。フェリーは約30分、高速船は15分という速さ。船は伊良部島の生命線、しかし長年に渡って活躍してきた旅客船も2015年1月に伊良部架橋が完成し、廃止された。
写真は平良から佐良浜に向かうスーパーライナーはやて。伊良部島・牧山展望台にて。




 昭和35年頃にこの航路を往復していたのは雄勝丸、旭丸。平良ー佐良浜の所要時間は約1時間。主動機はグローエンジン。通称、ポンポン船、焼き玉エンジンと呼ばれる戦時中に多用されていたエンジンである。グローエンジンは粗悪な重油でも故障なく動き、メンテナンスも簡単なことから重宝された。しかし低出力・低回転型のためにスピードが出ない。島民の大切な足として活躍したポンポン船。「運搬船」と呼ばれていた雄勝丸と旭丸にはいつも定員いっぱいの乗客が乗っていたという。

当時、伊良部島には高校がなく、高校生たちは船で宮古島の高校まで通っていた。港では船は接岸してはいるが波があったりすると船が1~2メートル程度、離れたり近づいたりを繰り返すことがある。毎朝、毎夕、船に乗る彼ら。慣れからだろうか、油断して船と桟橋の間の海に落ちてしまう高校生がたくさんいたらしい。しかしそこは泳ぎに慣れた高校生、さっさと船に上がり全身びしょ濡れのまま元気に登校。ちなみに現代、宮古島の高校生は雨でも傘は差さない。ズブ濡れのまま平気で歩いている中高生をよく見かける。曰く「晴れたらすぐに乾くから」

1959年(昭和34年)8月24日、黒煙をはきながら佐良浜港を出航した雄勝丸。後ろには佐良浜の集落が見える。




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